50代転職の厳しい現実って?50代転職は難しいって聞くけど、今まで実績もあるし経験もある。20代30代の若者より、絶対自分の方が仕事は出来る。
今日はこんな風に思っている50代の転職希望者に向けてお話をしていきます。
転職エージェントとして日々活動をしている中で、企業が出している求人・希望条件を見てきた事を中心にしています。
この記事を読んで頂く事によって50代という年齢が転職市場において、どう企業から見られているかが分かります。
自己分析、市場価値の判断軸の一助になれば幸いです。
50代の求人数は全年代と比較して圧倒的に少ない
年代に限らず上手くいく人は上手くいきますし、上手くいかない人は上手くいきません。
今までビジネスマンとして働いてきた実績や経験はもちろんですが、その前段階にあるいくつもの壁の存在がある事を忘れてはいけません
そのひとつが求人数の数。下記の数字は人材紹介会社、転職エージェント専用求人サイトで出してみた数字です。
50代 13.72%
40代 47.47%
36歳 66.16%
31歳 86.51%
複数の求人サイトの合計求人数に対しての年代別求人数の割合です。
どうでしょうか?年齢が50代というだけで、求人数が全体の約1割弱まで減ってしまうのです。
これは経験や実績の前段階、応募可能年齢の話です。
更にこの1割弱の求人も、企業は超ウルトラ即戦力の人材を求めています。
仮に転職が上手くいったとしても転職初日から利益を上げるのは当然、教えられてないからなどの言い訳は一切通じないと思った方が良いです。
一般に出回っている求人票には、年齢の事は書かれていません。
これは雇用対策法により、年齢や性別などで応募制限を設けてはいけませんよ、という法律に基づいている関係です。
例外もあり、よく見かけるのが35歳未満(長期勤続によるキャリア形成をはかるため、例外事由3号のイ)。
この文言を求人に載せる場合は、職務経験を問わない(要は未経験者の募集)事を条件にして例外事由3合のイを掲載しています。
その他にも例外事由1号~例外事由3号ニまであるので、興味がある方は調べてみてください。
この本当の年齢制限を人材紹介会社、転職エージェントは把握をしています。
しかし、年齢を理由にして選考に出すことが出来ないという類の言葉は、あとからどんなクレームが入るか分かりません。
その為、エージェントは言葉を変えて「求める条件と違っていたようで~・・・」「求人が充足してしまったようで~・・・」という言葉で、お見送りを通知します。
まず大前提として50代の求人は少ない。これを踏まえた上で転職活動を進める覚悟が必要です。
希望条件が高すぎる
50代といってもまだまだ働き盛りで、住宅ローンや子供の学費、更に自分達の老後のお金など休んでいる場合ではない方も多いはず。
その為、今までの給与水準と同等以上を求める人が非常に多いです。
これも50代転職が厳しいと言われる理由の一つでもあります。
それぞれ生活状況があるのも理解できますが、前職給与を保証する義務は求人企業にはありません。
特に転職初年度から実績を挙げられるかどうかも分からない、更に若くもない年齢で将来性がない50代の人材に対して、そこまでの給与をだすことが難しいと思うのが企業の本音です。
どんなに早く見積もったとしても1年間の実績が必要でしょう。
それを頭から前職給与より下がってしまうのは無理。となると、転職は厳しいと言わざるを得ません。
いま転職活動をされている方は、この内容も決して忘れないように転職活動を進めるが吉です。
何かのスペシャリスト以外の人には本当に厳しい
前項に付随した内容になりますが、本当に何かのスペシャリストで誰もが分かる数字実績や、ポートフォリオなどを持っていないと採用は難しいというのが本音です。
では何かのスペシャリストとは、具体的にどの程度ものなのでしょうか?
職種や年収によっても違いますので、一概には言えませんが部門の責任者クラスを即やれるぐらいは見ておいた方が良いと感じます。
そのぐらいの経験と実績が無いと、恐らく書類段階でほぼ選考落ちをすると思います。
それではキャリアに一貫性がなく、スペシャリストと呼べるような資格も実績もない人はどうしたら良いのでしょうか?
個人的には転職をしないという選択が賢明だと感じます。
会社にしがみついてでも残った方が良い。
50代にもなると親御さんの事情や、身体的な衰えなど様々な事情が出てくると思いますが、どうしても退職をしないといけないという状況を除いて、その会社で実績や貢献が出来るように今一度考えた方が良いと考えます。
正社員以外での働き方
とは言っても、今の会社で続けられる気がしない・・・。という方は、本業以外の仕事を本業に就いているうちに見つけましょう。
これは50代に限った話ではなく、現状に不満や不安のある全年代に言える事です。
副業、複業、パラレルワーカーなど色々な呼び方がありますが、もう一社で勤め上げるという時代ではありません。
会社員としての給与を上げる事は難しいのは、もう周知の事実。
それであれば、別の収入源を探し自分のものにしていくのが妥当な考えです。
自分の市場価値を計る意味でも、一度得意な経験・スキルを使って自分だけで仕事を取ってお金を稼ぐ事が出来るのかを真剣にやってみるべきです。
もし、それが上手くいけば別の収入源を確保する事が出来るかも知れません。
ダメだったとしても本業での仕事があるので、再起不能の状態になる事は避けられます。
メンバーシップ型雇用から、ジョブ型雇用へ日本全体が進んでいく中、年功序列で仕事をしてきた人達は危機に陥ります。
利益を出せない人間は会社に置いておけないという事ですね。
だから年功序列・固定給で今までやってきた人達はジョブ型雇用がどんどん進んでいけば、より厳しい常置に陥る可能性があるという事。
これは年代に限らず本当に意識しておかないといけない傾向です。
それと、在職中の人はとにかく人と仲良くなっておく事。
今も昔も最強の転職術と言えるリファラル(紹介)での転職です。
取引先の人、社内の人問わずとにかく人と仲良くなって人脈を作ってください。
人伝での転職が出来れば、転職活動をする事もありません。
逆に人脈形成が出来ていないと、ここまでお話をしてきた内容の事を踏まえて転職活動をしていく事になる為、かなり厳しい現実を見る事になります。
もう退職をしてしまったという人は、見栄もプライドも一切捨てて考えられる限りの人達に連絡を取ってみてください。
あなたの事を良く思っていたり、実績を買ってくれるなら人の人脈を使って転職先を紹介してくれる可能性があります。
今までの自分自身の行いがダイレクトに出る可能性があるので、人によってはショックな結果になるかも知れません。
しかし、そうまでしないと転職は本当に難しいのが50代の転職です。
仕事を選ばずやれることをやる
ここまでお読みになってみてどうでしょうか?
自分なら余裕だと思ったか、やっぱりキツイかもと思ったかは人それぞれだと思います。
今回の記事ではあまり触れる事が出来ませんでしたが、紹介会社や転職エージェントを通す際も遠さない際も、転職回数は結構見られます。
年代によって目安はもちろんありますが、5回以上になると多いと見なされる場合が多く、その時点で書類選考を弾かれてしまう場合もしょっちゅうです。
転職回数不問の求人になると職種がかなり限られてきます。
ここもプライドや見栄などが関係してきてしまう場合が多く、そんな仕事が出来るか!と考えてしまう事が多いんですよね・・・。
しかし、厳しい言い方をすると仕事を選べる立場ではないという状況であるかもしれないという事を頭に入れておいてください。
仮にそうであったとしても、先述した正社員以外の働き方を見つける事が出来れば、生活をしていく上での収入は確保できると思います。
だから仕事を選ばずやれることをやる。という意識は絶対必要。
最後になりますが紹介会社や転職エージェントの使い方として、自分の市場価値を確かめてみるという意味で使ってみる事もオススメです。
自分にはどれぐらいの求人を出してくるのか?どれぐらいの数があるのか?という事を確認できるかもしれません。
さいごに
今の日本では50代の転職は本当に難しいものになっています。
給料もそうですが、1番大きいのはプライドです。
50代となるとそれなりの給料、それなりのポジションで働いてきています。
そういう50代の扱いというのは周りも気を使いますし、なかなか厳しいというのが現状でしょう。
もちろん会社に貢献できる独自のスキルを持っていれば別ですが、そういう人はなかなか居ないですよね。
特に50代になれば管理職に落ち着いている人も多いですし、どうしても扱いずらくなってしまいます。
だからこそあまり50代の転職というのはオススメはしません。
まずは今の会社でどうなのか考えて下さい。
多少の左遷、多少の減給、我慢できませんか?
どうしても50代の転職はパワーが要ります。
イチから人間関係本当に築けますか?
本気で50代からの転職を考える場合は最初に最悪な事から考えて下さい。
それでも転職を望むのであればそれなりの覚悟を決めましょう。
転職という事で新鮮な感じを得るかもしれませんが、それは一時です。
そんな感情に流されず、本気で考えて下さい。
それぐらい声を大にして言いたいからこそ50代の転職は大変なのです。
本気で考えている方は是非ともこの記事を読んでじっくり考えて頂けたら幸いです。
コメント