飲食店の採用活動、ITと飲食業界の人材不足について考える

近年、各産業でのIT化が急速に進んでいます。

将来的に接客・受付・販売員などをはじめ、様々な職種で仕事がなくなると言われています。

実際にイギリスのスタートアップ企業であるモーリー・ロボティクス(Moley Robotics)は、2020年末に「Moley R」の受注を開始。

日本でも有名な外食チェーンである「PRONT」の屋号で知られるプロントコーポレーションはパスタの自動調理ロボットを年内に導入すると発表しています。

これにより人が行う手作業を20秒まで短縮できる模様で、近年の外食産業における人手不足に一役どころか大きな影響をもたらしそうです。



飲食店のDX化(デジタルトランスフォーメーション)

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今まで人の手で行っていた仕事をIT技術に置き換える取り組みは、あらゆる面において進んでいます。

調理師が働く現場であろう飲食店でも例外ではなく、予約台帳システムやATS(採用管理システム)、インターネットタイムレコーダー、ポスレジなどあらゆる面でIT技術が導入されているケースがあります。

ここで問題があって確かに便利にはなっているのだけど、新しいシステムや物を入れる事で逆に現場の負担になってしまうケースも多々見られます。
ATS(採用管理システム)は24時間求職者からの応募を受け付ける事が出来ますが、導入している企業が多くなってきている影響で、求職者の争奪戦とも呼ばれる事態に陥っています。

その一つに応募が入ったら出来るだけ早く反応をするというものがあります。

この「出来るだけ早く連絡をする」は、広告代理店やネットの情報、どのサイトでも同じ事を言っています。

通常求職者は一店舗だけに応募をするといった事はなく、複数店舗に対して同時に求職活動を行っています。

その為、せっかく自動化が出来ているはずのATS(採用管理システム)を使っても、その都度その都度対応をしなくてはならず、更に応募に対しての連絡が遅くなってしまうと、応募者は他のアルバイト先に行ってしまう・・・という残念なケースになってしまいます。

つまり何が言いたいのかというと、ITの技術を使って何がしたくてどんな問題を解決出来るかを、導入前に考えなくてはならないという事です。

将来的に見てコストを抑えられる事は分かっていても、導入初期にはそれなりのコストがかかります。

この見極めを出来る人物が必要なのですが、技術開発をしている企業で飲食店の仕事を細部まで理解している人間はどれぐらいいるのでしょうか?

そうなると一番初めの要件定義に時間をかけ、一切の妥協なく現場で必要としている事を説明出来る人間が飲食店には必要で、その為には設備投資を含めIT業界出身などの人材を引っ張ってくるぐらいが必要になるのではないかと感じます。

飲食業界の人手不足は全産業でトップ

飲食店の人手不足は非常に深刻で、入社率が33.5%、離職率は30%(2017年 厚生労働省「雇用動向調査」)という数字で、全産業の中で最も人材が集まりづらく定着しづらい業界となっています。

この数字からどういった事が見えてくるでしょうか?

せっかく入社をした人がいても、それと同数程度の人が辞めていってしまうのはなぜなのでしょうか?



求人側と求職者側の仕事内容に対するギャップ

まず考えられる点が求人側と求職者側との仕事内容に対するギャップです。

ホール接客を募集中と書いてあったから応募をしたのに、ほぼ一日中洗い場に入らされた、接客はほとんどせずにドリンクばかり作っていたなど、こういったものが悪いギャップに繋がります。
このギャップに関しては、求人票の内容への記載が甘いという事が考えられます。

リアルなお店での働き方を記載し、求職者に対して実際の現場で働くイメージをさせる事が本当に重要で、こういったミスマッチは飲食店のほとんどで起きているのではないかと感じます。

じゃあ求職票に詳しく全部書けば良いのかというとそうでもなく、文章量が多すぎるとそれはそれで読みづらい・読む気をなくすといった意見も出てきてしまいます。

20代~30代といった若手世代はデジタルネイティブ世代と呼ばれ、物心がついた時からインターネットが身近にある世代です。

ゆえに文字だけではなく、YouTubeやティックトックに代表される動画にも日常的に触れています。

文字よりも動画による情報の方が理解がしやすく、イメージもそのまま伝わりやすいため、最近では動画マーケティングも活発です。

飲食店の採用活動においても、今後は動画を取り入れていく事が必須だと感じています。

飲食店における採用媒体で動画をうまく使っているサイトは、現在のところ「グルメキャリー」が一番分かりやすく導入しているのではないでしょうか。

若年層・若手に人気のアルバイトサイト「バイトル」も以前より動画による店舗PRを行っていますが、グルメキャリーの動画の質はかなり高く現段階ではグルメキャリーに軍配が上がるかと感じます。
グルメキャリーYouTubeサイト(音量注意)→https://www.youtube.com/user/jofficetokyo

採用のトレンドはソーシャルリクルーティングとダイレクトリクルーティング

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株式会社ディスコが2020 年卒 採用ホームページに関する調査を行った結果によると、転職サイトや求人ナビサイトを使うよりも、企業個別のWEBサイトを重点的に見ていると回答した学生が58.9%と約6割を占めています。

これは2020年卒の学生を対象にしたアンケート結果ですが、今後もこの傾向は続いていくと見られています。

就活サイト、転職サイトはとりあえず登録をして情報収集をしておき、実際の活動は企業に対して個別に行うといった流れです。

つまり、今後企業が取るべき採用活動方針としては自社メディアの充実→SNSなどでの情報発信を行い自社WEBメディアへの誘導→自社採用サイトからの応募獲得といった戦略が有効になってくる事は間違いありません。

求職者側から企業を選ぶという図式になり、これがソーシャルリクルーティングと呼ばれる手法です。

ダイレクトリクルーティングも近年一般的な採用手法となってきており、代表的なサービスで言えばビズリーチ、リンクトインなどが有名。

今までは転職サイトや求人ナビサイトに求人票を載せ、求職者からの応募を待つという図式でしたが、ダイレクトリクルーティングでは企業から求職者に対して直接コンタクトを取り採用活動を進めていく、いわゆる攻めの採用手法です。

ビズリーチ、リンクトインより以前はスカウトメールがそれにあたり、現在もスカウトメールは多くの企業が使用している採用手法です。

しかし、スカウトメールはあまりにも多くの企業が利用をした為、スカウトメール自体が陳腐化してしまい、開封率は7%~10%と言われており数を打たなくてはならない手法と言えます。

ダイレクトリクルーティングは、手数がかかるものの効果的な手法である事には変わりないのですが、何せ導入コストが高額になりがちです。

大手サイトが運営しているスカウトメールを利用しようとすると、掲載料金+スカウトメール費用(オプション/通数により変動)がかかります。

プランによって様々ですが、一番安いプランでも30万円~が妥当でしょう。

この30万円という数字は2週間での掲載料金である場合が多く、期間内に応募がなくても料金は発生してしまいます。

こういったコスト的な面を考えても、ソーシャルリクルーティングは自社で運用をしていく為、人的なリソースは発生しますがコスト面では優秀であると言えます。

とは言えSNSでの情報発信・自社メディアのコンテンツを充実させるといった作業は、簡単な事ではない上に時間も効果が出るまで時間がかかり、何より継続的な発信が大前提となってきます。



飲食店こそSNS・オウンドメディアの強化を行うのが良い

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飲食店が採用にかけられる費用はどこまでかけられるかは、企業やお店次第かと思いますが飲食業界の10%利益が出せれば優秀と言われている事を考えると、どこもスカウトメールを打てるわけではない事は一目瞭然です。

その為、飲食業界こそ自社メディアを強化しSNSからの流入での採用活動が効果的なのでないかと考えています。

飲食店は「料理」という出来上がった時・調理中のライブ感など他業界にはない独自の圧倒的なコンテンツを持っており、このコンテンツを活かさない手はありません。

また、求職者は職場の本当の情報を知りたがっています。転職サイト・求人ナビサイト離れが進んでいるのも、この本当の情報がサイトには載っていないからに他なりません。

自社にとって良い事ばかり書いてあるサイトは、どんどん敬遠されていきます。

どんな人が働いているのか、営業中の実際の雰囲気などをどんどん発信していく事で、求職者に対して本当の情報を開示し、結果的にその姿勢が受け入れられるという流れに繋がります。

時間はかかりますが、今より遅い時はありません。

飲食業界の今後の為にも、飲食業界全体のイメージが良くなり人が戻ってくる事を願うばかりです。

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