一昔前までは虫ほどの知能しか持たないといわれていたAI(人工知能)技術は近年飛躍的に進化し、近い将来人間の知能を超えるともいわれています。
AI人工知能の技術の向上により、私たちの暮らしがより便利になるという期待がある一方で、我々のビジネススキルがAIにとってかわられて今の仕事が奪われてしまうという懸念の声もあります。
事実、現在ある人間の仕事の半数近くが10年ほどでなくなるのではないかという論文も出されていて、特に同じものを大量生産する製造業、データの整理など膨大な量の繰り返し単純作業はAIのほうが正確で早くこなせることから、近い将来人間の仕事ではなくなってしまう可能性が高いといわれています。

そういった事態に備えて、AIにとってかわられにくい仕事のスキルを身に着けていくという対策が必要かもしれません。
実際、営業などの人とのコミュニケーション必要なビジネスや、芸術などの人間の創造性が重視されるビジネスはAIの苦手とするところで、人間の仕事が奪われくい分野といわれています。
では作曲家や歌手といった音楽ビジネス業界はどうでしょうか。
音楽といえば芸術の領域ですので、人間の創造性が試される分野なので一見奪われにくい職種にように思われますが、一部で音楽ビジネスもAIにとってかわられるのではないかという声もあります。
年代別に好みの音楽を集計してAIで分析させればどんな音楽が売れるのかが見えてくるのかもしれません。
そこで本記事では、音楽ビジネスがAIにとってかわられるかもしれないといわれる理由や、実際に奪われてしまうのかどうか考えてみたいと思います。
音楽ビジネスがAIに奪われるかもしれないといわれる理由は?
人間の創造性が重視される芸術分野のビジネスでありながら、なぜ音楽ビジネスがAIにとってかわられるという懸念があるのでしょうか。
それは様々な分野の音楽的技術が機械で実現できるようになってきたことからそういわれるのではないかと考えます。
実際にベートーヴェンやショパンの時代は作曲するにあたっては紙に音符を書き込んでいく方法しかありませんでした。
楽譜が解読できるのは当然のこと、楽譜を見るだけでどのような音楽なのかが理解でき、また頭の中に浮かんだ曲を楽譜に落とし込めるだけの力は最低限必要でした。
それに加えて卓越した音楽的センスを持ち合わせていないと作曲というビジネスでの成功は不可能です。
また、作曲をされても紙に書いてあるだけでは群衆には伝わりません。これを演奏できる人たちの技術もあってはじめて音楽というものが大衆に受け入れられ、ビジネスとしても成功する可能性がありました。
一方現在はどうでしょうか。
DTM(デスクトップミュージック)という言葉が一般的になり、パソコンに作曲ソフトをインストールすれば作曲ができ、機械による自動演奏も可能になりました。
それでも20世紀末ころまでは五線譜にマウスを使って音符を打ち込んでいくスタイルで、最低限楽譜を読む力は必要でした。自動演奏はできても抑揚をつけることはあまりできませんでした。
それも近年さらに進化し、様々なエフェクト機能などが追加されて、自動演奏もより人間の演奏に近づきました。
それにより、楽器が弾けなくとも世に音楽を公開することが可能となり、動画サイトにあげるなどの方法でビジネスとしても可能になりました。
さらに最近は鼻歌を歌うだけで機械がメロディやコードを自動で割り出してくれたり、曲の雰囲気や拍子などを入力するだけでもそれなりの曲が作れるようになり、VOCALOIDソフトなどを使えば歌入りの曲も作成可能になりました。
その関係で、曲を作る、演奏する、歌うという技術が特殊なものでなくなり、機械化のおかげで誰でも参入できるようになってきたことから、このまま機械の技術が進めば機械だけで音楽をすべて作り上げることができ、さらにそこに人工知能が投入されれば作曲家や歌手などのミュージシャンとしてのビジネスが成り立たなくなってしまうといった懸念につながっているのではないでしょうか。
趣味レベルのものは誰でもできるようになってもビジネスレベルのものは淘汰されない
それではこのままDTMなどの機会による技術が進歩し、AIによって音楽ビジネスの機会も奪われてしまうのでしょうか。
個人的な考えではありますがビジネスとして通用するレベルの音楽はAIが奪うことはできないと思います。
趣味レベルの作曲技術や、会社などの宴会でうまいといわれる程度の歌唱力であれば、近い将来AIが一瞬で作り出したり、機械さえあれば誰でもできるようになったりと、それほどすごいといわれなくなってしまう可能性があります。
しかし、ビジネスとして成立するレベルの大衆の心をとらえる音楽は、AIに奪われにくい「人間の創造性が重視されるビジネス」の1つであることは変わらないでしょう。

かつてベートーベンやショパンが大衆の心をとらえ、現在ではADOやBTS、Niziuなどが多くの人の心をつかんでいます。それは彼らの人間であるが故の想像力によるものであるということは間違いないのではないでしょうか。
機械化や、AIの技術進歩により、だれでも音楽に参入することが可能となっていくことで、アマチュアミュージシャンと全く音楽の知識がない人との差は詰まりつつありますが、プロとしてビジネスで通用するレベルのものはAIがとってかわることができないのではないでしょうか。
AIができるのは過去のデータの詰め合わせが限界なので、卓越した才能のミュージシャンが新しい音楽の世界を切り開いていく限り音楽ビジネスは今後も続くと考えられます。
AI技術がどこまで進歩するのかで音楽ビジネスが変わる
AI人工知能と言っても100年後から見るとまだまだ最初の段階なのかもしれません。
実際問題、AIに音楽を自由に作れと命令しても簡単なものは作れるかもしれませんが、人の心に響くものは難しいのかもしれません。
その為にもエンジニア、技術者は試行錯誤をしてそういうAI技術を作っている最中なのかもしれません。
正直、音楽ビジネスに関わらず全てのビジネスにおいてAIが乗っ取ってしまう事は近い将来あるのかもしれません。
それを人間が上手く運用できるのかどうかが鍵になってくるでしょう。
人がAI人工知能を上手く使いこなせるのか
エンジニア、技術者がどういうアルゴリズムでAIを作成しているのかは私には分かりません。
ただ1つ、”人が幸せになれるように”という命令は残してほしいと思います。
既にAIは人を超えているんは間違いありません。
将棋、オセロ、チェスなども既に人では勝てなくなっています。
結局はAIをどうやって運用するかが鍵だと思います。
そのうちAIをAIが作っていたら人が制御できなくなります。
(既にそうなっているのかもしれませんが、、、)
その場合、昔のドラえもん映画で”ドラえもん のび太とブリキの迷宮(ラビリンス)”というものがありましたが、これは人間がロボットに支配される内容でした。
大人になって観るとそのうちこういう世界になってしまうかもしれないという恐怖を感じます。
だからこそ人がしっかり制御して使いこなせるかが重要なのです。
人の解釈次第ですが、作り手によってAIだって変わってきます。
そういうのも議論されているとは思いますが、是非とも”人が幸せになれるように”という考え方は残しておいて欲しいと思います。
最終的に判断するのは人
AIを作るのが人であれば音楽を聴くのも人です。
そこで良い音楽かどうか判断してAIだったとしても根本は人が作っているのです。
そう考えれば結局は人が作り上げた音楽という事ではないでしょうか。
ただそれを人が作っているのかどうかを判断するのは自分次第ですね。
まだまだ人間の感覚という部分まではAIは達していないように感じますが、その領域までいけば例えAIが作った音楽でも満足できてしまうような気がします。
それでもやっぱり最終的に判断するのは人のような気がします。
最後にいきつくのはAIテクノロジー
そのうち人は音楽を考える事さえ諦めてしまうのかもしれません。
そうなると心地の良い音楽を作るためにAIの進化はどんどん進んでいくのかもしれません。
結局は音楽からシステムに分野が変わり最終的にはAIの進化が音楽ビジネスを決めると想像されます。
でもそうなるのは本当に悲しい事です。
いくら技術の進化が大事だとしても人として譲れない所もあるのではないでしょうか。
そこを人間が間違えない事が今後の音楽ビジネス発展に繋がるのではないかと思います。
作詞、作曲、編曲がAIになる日も
今は作詞、作曲、編曲が人の名前ですが、そのうちAIの名前になる日もあるかもしれません。
AIにこんなのとこんなのとこんなのを合わせた感じでと言えばそれなりのメロディーが作れるでしょう。
そして著作権に引っかからなければ世に出てしまう事もありえます。
もっと言えばそのうち歌だってAIになる可能性もあります。
でもそんな世の中でいいのでしょうか。
人間が楽をする為にAIの技術が発展していますが、娯楽にもAIが介入してしまえば誰の為のAIなのか分からなくなってしまいますね。
人間がが考えるからこそ素晴らしいものができるのであって全ての分野でAIに奪われてしまったら人間の出番はなくなってしまいます。
その時に人間の価値というのは果たしてあるのでしょうか?
そういう事を考える日がくるのかもしれません。
さいごに
いかがだったでしょうか。
あくまでも当記事の予想にはなりますが、音楽ビジネスが完全にAIにとってかわられることはないと思われます。
それは現段階の話であり未来はどうなるかは分かりません。
100%までいかないかもしれませんが、高い確率でAIに変わってしまうかもしれません。
ただ考え方を変えればAIの普及やだれでも参入できるようになることでビジネスとして通用するのに必要なレベルは上がっていくことも考えられます。
結局は音楽ビジネスに限らず他のビジネスにおいてもAI人工知能を上手く使いこなせるのかがカギになってくると思います。
一昔前までは「ここまでできたら大成功できるレベル」だったものでも機械化によって誰でも簡単にできるようになったリ、AIでもできるようになったりするため、常に人間の感性には進化が求められることも間違いないでしょう。
結局は使い手次第な所が大きいような気がします。
それを良しとするかどうかは自分そして周り次第です。
AIの進歩云々に限らず世の中がどのように変わっても生きていけるようなビジネススキルを身につけどんな状況でも対応できるようにできればビジネスチャンスが生まれてくるのではないでしょうか。
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