調理師はどれぐらいの給料を稼げるのでしょうか?
飲食業界では調理が出来る人間は、優遇されやすい傾向にあります。
下積み、修業期間は長時間労働や仕事内容もきつく、給料も低く若い人が逃げ出してしまうような環境にある事は否定できません。
しかし、辛い下積みを乗り越えシェフやスーシェフ、料理長といった役職をつけ自分のレシピを持ち価値を提供する事が出来れば、かなり未来がある仕事だと言えます。
これはIT社会を突き進んでいく現代においても、代替する事が出来ない強力なスキルだと感じます。
世の中の飲食業界の流れは、チェーン店よりも何かに特化した専門店・個店化が進んでいて、客単価も以前より高く設定をしているケースが多く見受けられます。
利益率が10%出せれば優良と言われている飲食業界ですが、こういった客単価の設定や出店場所などを戦略的に考える事で、利益率20%を超える個人店も多く存在しています。
飲食業界は完全に落ち目の業界と言われていますが、個人的にはやり方次第・スキル次第で大きく稼ぐ事の出来る仕事だと思っています。
調理師の平均年収
厚生労働省が2018年に発表している賃金構造基本統計調査によると、調理師の全国平均年収は342万円となっています。※出典:賃金構造基本統計調査
全国の平均なので地域によって様々ですが、東京の調理師平均年収は約460万円と国内では一番高く、東北地方などでは200万円台後半もあり差があります。
冒頭に申し上げた通り、下積み・修行期間中の給料は非常に低く東京でも下積み時代は手取り10万円台が普通です。
東京での生活していく為には、10万円台の給料だとかなり厳しい事は歴然。生活費の中では家賃と食費が大きな割合を占めますので、下積み時代には寮に入れたり賄いがあるところでの修行が、少ない給料でやりくりしていく為には大切になってきそうです。
日本国内では飲食業界はブラックとほぼ定義付けられている印象があります。
これは長時間労働に加え低い賃金がそうさせていて、飲食業界の社会的な立場を上げる為には従業員の賃上げが必須だと思っています。
従業員への給料を上げる為には、上げた分の人件費をどこかで回収しなくてはなりません。
例えば営業時間が10:00~15:00/17:00~23:00のレストランだった場合。
月給20万円の調理師が3人いたとすると、調理師の人件費は60万円/月です。
この調理師の給料を何とか25万円にしてあげたいとなった場合、月間で15万円(3人×5万円)をどこかで回収出来れば良い訳です。
料理の販売価格に反映させるのであれば、どのメニューがどれぐらい出ているかを経営者やマネージャーは把握をし、10円でも50円でも販売価格を上げてみる。
たとえ10円の値上げだったとしても、日当たり100品出せれば月間で3万円の利益改善となり、残り12万円が目標設定価格となります。
メニュー単価を上げるのは最終手段ですので、他にやれる事をまずやってみる事が必要です。
トッピングメニューを加えてみたり、滞在時間を増やしてもう一品を頼んでもらうような接客サービスを行う、広告費や消耗品・備品類の削減、立ち上げ時間や閉店時間の効率化など給料を上げる為に出来る事を必死に考えるべきです。
調理師の給料を上げていく為には?
調理師として給料を上げていく為に手っ取り早いのが、稼いでいるところに行くという事。
稼いでいるところというのは、客単価が高い店で利益をしっかり出せている場所の事です。
今後、調理師や料理で独立をしていく事を目指す人は、積極的に海外を視野に入れるべきです。
例えばアメリカは以前より日本食ブームが続いており、日本外食企業も積極的に海外での立ち上げを進めています。
また、アメリカでは調理師に対する社会的な地位も高く、やりがいという意味でもチャレンジする価値があると感じます。
一概に給料だけが原因だとは言えませんが、飲食業界の人手不足解消の為には業界全体で賃上げをしていく事が必要と強く感じます。
調理師として働く個人的なおすすめ 社員食堂
調理師が必要とされている場所は多くあります。街場のレストランをはじめ集団調理(病院・学校・施設等)、ホテルなどそれぞれ給料は違うのでしょうか?
求人サイトなどを調べてみて、個人的にオススメしたいのが社員食堂で調理師としての働き方。
社員食堂と言うと少し野暮ったいというか、古臭いというか、パッとしないイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。
しかし、最近の社員食堂はすごくおしゃれで高級レストランを思わせるような雰囲気を持つ社員食堂が多いのです。
社員食堂なので社外からの一般客がおらず、来るのはほぼ同じお客様な事も特徴。
売上に対する意識が良い意味で低いため、シンプルに顧客満足を追求する事が出来ます。
社員食堂をある企業は資本を持っている企業が多い為、安定した給与と仕事を確保する事が出来ます。
利益主義ではない為、顧客満足を上げる・継続させる為にメニュー開発も必須で行いますし、働く人の健康を意識した食材選びや調理法を経験する事が出来ます。
社内の人間が相手という事もありメニューに対してのフィードバックを得る事も街場のレストランより容易です。
SNSなどで悪い噂を書かれる事も少ないため、安定性で見た時にはかなり上位に入ってくる職場ではないでしょうか。
また、企業の営業時間に合わせての営業を行う為、土日祝休みという事も大きなメリット。
飲食業界としてはまず考えられない、土日祝を休めるとなると家族を持っている方にとっても働きやすいはずです。
更にディナーよりランチにお客様が集中するため、22:00以降の深夜勤務が発生しづらい事も忘れてはいけません。
このように外食・飲食業界の中でもかなりオススメが出来る社員食堂。
料理人として野望がある!世界進出をしたい!といった方には向かないかも知れませんが、ライフワークバランスを安定させ、調理師として働いていきたいと考えている方にはおすすめです。
キャリアを考える
調理師としてだけでなく、フードコーディネーターや外食企業の総料理長、メニュー開発といったキャリアパスを考えていく事も大切です。
居酒屋業態であっても、複数店舗を持つ居酒屋チェーン店でのメニュー開発を担当する事が出来れば年収600万円以上は普通に狙えます。
また、マネジメントのスキルも磨いておくと企業で働く際に非常に有利に働く事も可能。
昔ながらの職人気質の料理人だと、ホール・サービスは一切やらないという人も多いですが、こういった考え方は少し勿体ないです。
どんな業界でも言える事ですが、複数の仕事を担当出来る人材か何か一つを突き詰めた人材かを企業は欲しがります。
料理も見る事が出来て店舗のマネジメントも出来るとなったら、人材としての価値は相当高くなります。それが出来ないのであれば、料理をきわめて誰にも〇〇といったら自分、といった誰にも負けない武器(レシピ)を持っている事が必要です。
どちらにせよ、調理技術を活かして利益を出せる人材にならなくてはいけない事は変わりません。
利益を出していく事を考えると、調理技術だけでなく厨房内・店舗のオペレーション構築が出来るようにならなくてはなりませんし、仕入れ価格を交渉出来るような業者選定・開拓といったスキルも必要になってきます。
それらの事を身に付けて普遍的なスキルを手に入れる事、そのスキルを活かして経験と実績を積んでいければ調理師としてだけでなく、飲食ビジネスを行う上で大きな武器となるはずです。
こう考えると調理技術を活かすだけでなく、開業支援・店舗コンサルといった仕事も視野に入ってきます。
コンサルタントの仕事を個人で行う事が出来れば一回の報酬も大きい為、狙っていく事もアリかと感じます。
さいごに
調理師と言えども色んなスキル、キャリアを磨いていけば調理師だけにとどまらず色んな仕事があげられます。
まずは経験を積んで視野を広くした上で自分の将来を考えてもいいのではないでしょうか。
どんな事でも下積みは大事です。
下積みで自分をしっかり磨いてどういう将来を目指すかはその時の人、場所、経験によるものでしょう。
まずはやってみる事です。
そこから調理師としての第一歩が始まるでしょう。
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